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無骨者のラブレター

耳につけていた、インカムからの電子音に我に返る。
あわてて、右手を上げて、ボタンを押し音声をつなげる。
「ハイ、ルークァンス」
『ルークさん、お疲れ様です~。休憩しませんか?』
声を聞きながら、身体をずらし、視線を足元にやる。
眼下にいる****と目が合った気がした。
****がぶんぶんと手を振る。
こちらも軽く手を振り返しながら
「きりをつけたら、降りるよ」
そう答えれば。
『ダメです!きりがいいところまで待ってたら、
 何時までたっても休めませんよっ。
 第一、今話してて、手、止まっているじゃないですか~!』
との応え。
──言われてみれば・・・。
説得力のある言葉に、半分苦笑いしながら、
「今から降りるよ」
そう返事をした。

ウィーーーーン
ガタッ
カチッ
手元で止まったリフトのステップのロックをかける。
トン
足元を確認してステップから軽く降りる。
その様子を、ずっと****はニコニコしながら見ていた。
「お待たせ」そう声をかけると、さらに、にっこりして、
「お疲れ様です」と言う。
──と、ルークの身体の後ろに回りこみ、
「さ、コーヒー淹れてますんで~。休憩ブースへどうぞ、どうぞ」
そういいながら、背を押してくる。
「わかった、わかったから」
そういいながら、若干、****の腕に体重がかかったまま、足を進めることになった。

「すみません、今日はお休みなのに」
ちょっと、眉を下げ、すまなそうな顔をしながら、****がコーヒーが入ったカップを差し出す。
手を伸ばして、それを受け取り、ふーっと息を吹きかけ。一口。
湯気が立っているから・・・と覚悟はしていたが、やっぱりまだ自分には熱い。
「ううん、気にしないでいいよ。
 それより、逆に邪魔しちゃって、悪いね」
「邪魔なんて!助かります」
ぶんぶんと首を振る****。
「そう?ならいいけど。俺は好きでやっているんだし」
そういいながら、また一口。
「好き・・・」
ルークの言葉に、****の目線が上に向く。
そして、一人でうんうんとうなずいた後、ルークの顔を見た。
「本当に好きですよね~。
 一度、整備に入っちゃうと、邪魔できないですもん」
と、笑う。
「邪魔って・・・さっき、邪魔したばかりだろ」
そう、指摘をすれば、
「あはははは~。すみません」と頭を下げる。
その様子を見て、「あっ」と思い出す。
どうしました?と問いかける目に
「ちょっと、メモ借りるよ?」と言って、ディスクの上のメモに手を伸ばす。
先ほど、整備していた箇所で、気になった部品。
その形状を思い返しながら、描いていく。
そこに、大まかな部位と、自分が気づいた点、改良点を書き出す。
書き終わったメモに再度目を通し、更に付け足すことはないかと、コンコンと人差し指でリズムを取りながら、考えていると。
「本当に、好きですよね~」
****がしみじみとした声を上げた。
おかげで、思考が途切れる。
──が、とりあえず、付け足すことはなかったので、不快感はない。
「うん、面白いしね」
「面白いですか?」
「うん、中を見るとさ。作った人間の意図?そういうのが伝わってくるんだ。
 中に詰まっているもので、無駄なものなんて一切ないんだよ。
 遊び部分でさえ、意図されたもので。
 一つ一つの部品やそれが構成する、ユニットを見ていると、
 設計者の思いみたいの?を感じるから、面白くて」
「・・・そうなんですか?」
首をかしげながら、****は言う。
「うん。
 中を見てみると・・・無口な・・・無骨な・・・技術者の、
 雄弁なラブレターみたいだよ」
そういって、ルークは口元を緩めた。
そうなのだ・・・。
どうしても製品として販売されるものは、設計者の意図の他に、会社側の意向なども含まれてくる。
ただ、ものを作るだけではいけない。
部品を交換させるために、ほどほどの耐用年数になるようにしたり、販売の予算内に収まるように・・・。
さまざまな葛藤があるのだ。
その中で、折り合いをつけての部品だったり、やさぐれたなと感じる部品だったり、制限内でのベストなものだったりが、混在している。
大体、一つの物に携わっているのは、一人の人間だけではない。
分担して作られることがほとんどだから、大きくみれば一つのものなのに、部位によっては全然違うカラーを持っていたりする。
それを感じるのも、なかなか楽しいのだ。
「ラブレターって・・・面白い例えですね」
「え?そう??」
そう返事をしつつ、内心『やってしまったか』と思う。
この感覚は・・・もしかしたら、一部の者の感覚なのかもしれない。
たまたま、自分の周りにいた──カレンやアレフ達学校の仲間だったり、研究所の仲間──くらいか。
『自分は小さな空間にいたので、社会的なことにかなり疎いらしい』
そう思いながら、かなり冷めて飲み易くなったコーヒーを口にする。
「俺も──今からでも、そんな風に思えるようになれるでしょうか?」
「え?」
****から出てきたのは意外な言葉で。
思わず、聞き返してしまう。
「・・・やっぱり、無理ですかね?」
眉を下げて聞く****。
「い、いやそんなことないよ」
慌てて、それを否定する。
「第一、君は○○○専攻って聞いているよ」
「はい」
「じゃ、大丈夫」
「でも・・・すぐ、軍に入っちゃって。論理的なこととか忘れちゃいました」
そういって、シュンと肩を落とす。
「逆に言えば、実地は大丈夫ってことだろう?」
「う~~ん」
渋い顔をするのをみながら、
「大丈夫。君だったら実際作り上げていくうちに、思い出すよ」
と声をかける。
「作り上げる?」
怪訝な声。
「うん。そうだなぁ・・・。お勧めは####社のキットかな?
 2つ買って、一つは説明書どおり、組み立ててみる。
 2つ目は、一つ目を作りながら、そして完成して動かしてみてから、
 気づいたところを改良できるよう、自分で工夫してみる」
「自分で工夫・・・できるかな・・・」
難しい顔をしている、****に
「ま、初めは、不安だろうけど。手伝えるところは手伝うから。
 やってみるなら、協力するよ?」
そう声をかけてると、「本当ですか」との声。
やっとやる気になったらしい。
「うん」
「本当に、本当に、協力してくださいよ~」
と念を押してくるのを、微笑ましく思いながら、「はいはいはい」軽くあしらい、
席を立つ。
「じゃ、そろそろ戻るよ。コーヒーご馳走様」
そう言って、ブースのドアへ足を向ければ、
「あっ、俺も」
そう言って、追いかけてくる。
『****が書く、ラブレターはどんなだろう?』
それを読み解く日が来るのを考えると、口元が緩んだ。

-----

長いんで、補足とかは後ほど別記事でw
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ああ、この感覚、なんとなく解るような(笑)

ルークさんみたいな機械は出来ませんが、縫製にいた時は仕様指示書と型紙とにらめっこして皆で作り上げてました。
自分の指先に集中して作り上げるのは楽しかったですね。

☆ネコ長さん

> ああ、この感覚、なんとなく解るような(笑)

わ~、ありがとうございます。

> ルークさんみたいな機械は出来ませんが、縫製にいた時は仕様指示書と型紙とにらめっこして皆で作り上げてました。
> 自分の指先に集中して作り上げるのは楽しかったですね。

うんうん、そういう指示書をきちんと読み取って、作り上げるのって、
すごい気持ちが良いですよね。
意図がちゃんと読み取れるって、すごく楽しいことだと思いますwww
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アロマ・レイキの勉強中。
神秘幾何学なんかも大好きです。
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