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病室4

「よっ、お疲れさん~」
ドアが開いて、声をかけられた瞬間、まずいと思った。
エルンストだ。
「うん、来てくれたんだ」
一瞬しかめた顔は、マシーンの負荷によるものだと思ってくれるといいのだが。
「うん、隊長は夜まで忙しそうだから~、俺だけ来ちゃった」
うしししと笑う。
若干、身の危険を感じるものの、あと、3回で一区切りというところだ。
ルークは気にせずトレーニングを続けることにした。
エルンストはトレーニングを続けるルークをチラッとみて言う。
「やっぱり、少しそげたよね」
「そうか?」
あまり自覚は無い。
さすがに昨日トレーニングを開始した時には、ばてるのが早くて、トレーニングメニューが的確に作られているのを感じたが・・・。
今日になり、ずいぶんと勘が戻ってきた気がする。
『1、0』
マシーンから手を離し、側においてあったタオルで汗を拭う。
「うわっ」
思わず声が出る。
エルンストが脇腹を撫で上げたのだ。
「な、何っ」
「そんなに驚くこと、ないじゃん」
ぐいっ
思わず、身を守るために無意識に引き締めた脇を片手であけられる。
「ほら、こ、前より浮いてるじゃん」
肋骨を上から一本一本触られる。
く、くすぐったい。
「もっと食った方がいいよ、ルークは」
そういいながら、顔が近づいてくる。
『こ、このパターンは・・・』
昨朝を思い出し、焦る。
顔が、近づきすぎ、『避けられない』そう思った時、
「何しているんです、きみは」
声がした。
「わ、先生~っ」
エルンストはルークの腕を放し、医師に駆け寄る。
「やった~、先生にもう一度会いたかったんだよね」
腕を取ってご機嫌だ。
「診察をするので、出て行ってもらえますか」
医師はとられた腕をするりと抜きながら言う。
「え、ここで?」
エルンストはキョロキョロとする。
トレーニング室でというのが言いたいらしい。
「隣でです。きみは病室の外へ出ているように」
医師がエルンストの背を押す。
ルークもそれにつられて、立ち上がって、後を追う。
「えっ、ここで待ってちゃダメなわけ?」
「ダメです」
ぐいぐい、ぐいぐい、背中を押されるエルンスト。
「なんでさ、部屋で二人っきりなんて、ずるいっ」
「ずるいとか、そういう問題じゃないでしょう」
病室を横切り、ドアからエルンストを押し出す。
『すごい・・・』
エルンストも本気で抵抗している訳じゃないが、手際のよさにルークは感心する。
「隊長に言いつけてやるからねっ」
ドアを閉められる直前、エルンストが最後に悪あがきをする。
「どうぞ、ご勝手に」
そういって、医師はドアを閉めた。
「・・・・・・この分だと蹴破るかな?」
ドアの前で、独り言・・・だろうかを言う。
ルークを見やり、「念のため、シールドをはっておいていいですか」と確認する。
「ええ」
短期間でエルンストの性格も見抜いているらしい。
場合に寄っては、焦れたエルンストが強行突破してもおかしくないとルークも思う。
「では」
すいっ、医師が手を動かす。
一瞬にして精妙なシールドが病室全体を包む。
「──っ」
本当にこの医師は何者なのだろう。
手の動き、作られるシールド・・・はるかに自分を凌駕している。



「では、診察をしましょう」
診察と言っても、手を触れられたりはしない、頭からつま先まで、ざっと見られるだけ。
「念のため、後ろもむいてもらえますか」
言われて、ルークは後ろを向く。
「ちょっといいですか」
背中の真ん中辺りに・・・手をかざされている感覚がする。
「こちらを向いて、目を見せてください」
言われて、振り返り、顔を向ける。
右目を真剣に見つめられ、視線が泳いでしまう。
「・・・いいでしょう」

「体の方は問題ないようですね。・・・後は、心。
 ベッドに腰掛けてもらっていいですか。
 私も座らせてもらいます」
そういった次の瞬間、医師の側には椅子があった。
安物の椅子ではない、長時間座っていても疲れを知ることなどないような、重厚でいてくつろげそうな椅子。
そこに医師は腰掛ける。
「何か変ったこととかありますか?
 ・・・よく、双子の場合、どちらかが亡くなると・・・
 “半身を失ったような”という表現を聞きますが・・・、
 それに似た感じとかは感じていますか?」
静かに聴かれる。
「・・・・・・“半身を・・・”・・・。
 ・・・そうかもしれません。
 この間まで・・・朝起きて、ルーシャンスの気配を感じて・・・。
 一日中、つながったままの感覚があって・・・。
 ・・・・・・・・・・。
 失うまでは気付かなかったんです・・・、
 自分がそんなことをしていたのを・・・。
 昨日の朝、無意識に伸ばした感覚の先が・・・すかっと空振りした時、
 「ああ」と思いました。
 独りなんだと・・・
 ・・・・・・皮肉なものですね。
 俺が・・・ずっと・・・独りになりたくて頑張ってきたのに
 こんな形で・・・独りになるなんて・・・」
ルークは目を伏せた。


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No title

>ずっと・・・独りになりたくて頑張ってきたのに
>こんな形で・・・独りになるなんて・・・

うるうる。。。i-241
こうやってそのうちに喪に服してしまうのかと思うと・・・いたたまれないですね・・・・・

DLされてそれを書くwakka○ちゃん、どんだけな思いだろうか。読んでいる私らもみんな一心同体みたいな気持ちになってる。ありがとうね、読ませてくれて。どうか無理しないでね。

はっっ・・・

エルンストさんやカイザーさんのキャラの濃さのせいで一瞬忘れてた。。。orz

ルーシェさん亡くなってたんでしたっけ。。。

ゆっくりゆっくり、時間をかけていいですよ。

そうするべき時もあるんでしょうからi-182

痛い…

>無意識に延ばした感覚の先が…すかっと空振り
ここが…すごく痛い…(>_<)
ルークさんの心情の表現が、針の穴に糸を通すかのように、もうそこしかない凄みに溢れてて…
その糸が彼女にも届くんでしょうね(TT)
wakka○さんシェアして下さってありがとう。

☆かほりん

> うるうる。。。i-241
> こうやってそのうちに喪に服してしまうのかと思うと・・・いたたまれないですね・・・・・

ありがとう~。

> DLされてそれを書くwakka○ちゃん、どんだけな思いだろうか。読んでいる私らもみんな一心同体みたいな気持ちになってる。ありがとうね、読ませてくれて。どうか無理しないでね。

無理も何も、熱が下がったら続きが書けなくなりましたi-201
いずれ、うまく漉されたら出てくると思います~。
もうちょっとお待ちくださいませi-236

☆よしひなさん

> ゆっくりゆっくり、時間をかけていいですよ。
> そうするべき時もあるんでしょうからi-182

ありがとうございます~。
お言葉に甘えて、しばらく寝かさせてもらうことになりそうです。

☆マッチャさん

痛みとして共有してくださって、マッチャさん、リーシャさんありがとうございます。
今回はエル・フィンさんがきつかったようだし。
やっぱり、ルースのそばにいた方には悲しい思いをさせてしまって・・・i-241

後が書けなくなったので・・・しばらくは大丈夫かと思いますが、
また、先をアップする時は、先に注意報を出させていただきますね。
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アロマ・レイキの勉強中。
神秘幾何学なんかも大好きです。
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