スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

ルーク8

真っ暗な中、ルークは目を開ける。
「・・・・・・・」
どうも寝てしまったようだ。
お湯もずいぶんと冷めている。
額から流れる汗を拭う。
「暑い・・・・」
しっかり芯まで温まってしまったようだ。
湯船から体を起こし、立ったところで、視界がゆがむ。
すっかりのぼせている・・・。

ゴーッ
栓を抜くと溜まっていた湯が勢いよく流れ出した。
シャワーをひねり、温かい湯を体にかけ・・・徐々に冷たくしていく。
体も気持ちも引き締まったところで、水を止め、手探りで湯船から出る。
そのままドアを開け、同じく手探りでバスタオルを探し当てた。
頭から垂れてくる水気をざっと拭い、体も大雑把に拭く。
ポイッとそれを投げ捨て、もう1枚取り出し、腰に巻く。
ついでに髪の毛と、首にタオルをかける。

バスルームから出ると、そこも闇。
さすがに手探りで歩くわけにはいかないか・・・。
ルークは部屋の明かりをつけた。
ふと、気配を感じ、目をやる。
デオンがソファに座って、こちらを見ていた。
「髪の毛、ちゃんと拭けって言っているだろう」
若干あきれ気味の声で言われ、我に返る。
「ど・」
「職権乱用」
左手で、マスターキーをひらひらとさせている。
「ベ・」
「スイッチを切ってある」
「しばらく・」
「俺にとって、お前の“しばらくは”こんなもんだ」
ことごとく、言い切られて、言葉に詰る。
「第一、風呂に突入して回収しなかっただけ、我慢したと思うけど俺」
右手の肘をつき、あごを乗せたまましらっと発言された。
「っ」
風呂で寝ていたのも知っているらしい。
「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・」


どこから話せばいいのだろうか。
湯船の中で出した、答えだろうか。


──あの時のデオンの言葉は、意図的にルークを挑発したものだった。
結果、ルークは怒り、部屋を後にしてしまったが・・・。
多分・・・、殴りかかるとか、ののしるとか・・・もっと表現して欲しかったのだろうと思う。
それは・・・、ルーシャンスに会ったからだろう。
ルースの感情表現はストレートだ。
おまけにすぐ、行動が伴う。
普段はルースと反対の俺も、怒った時くらいは同じようにストレートに反応すると考えたのだろう。
・・・ある意味、あの行動も充分ストレートだと思うが。
それは、デオンの意図したものではなかったということだ。


これをどう表現すればいいのか・・・。
「・・・悪かった。意図を読めなくて」
言葉を選んで言う。
デオンの目が一瞬、開かれたと思う。
「謝るな。俺が読み違えたんだ・・・。ちょっと調子に乗りすぎた」
カードキーをテーブルに放り出し、立ち上がる。
ルークの前まで歩いてきた。
「俺こそ悪かった・・・」
そう言いながら、ルークの頭に乗っているタオルに手を伸ばす。
髪を傷めないように、それでも手早く、雫をふき取りだす。
「・・・ごめん。うまく表現できなくて・・・」
「表現にうまいもヘタもないだろう・・・。
 ある意味、あれもストレートだ」
久しぶりにうろたえてしまったぞ。
小さくデオンがつぶやく。
「ごめん・・・」
なんだか、勝手に目が潤んできた。
いけない・・・と思う反面、思わず瞬きをしてしまった。
ポロッと涙がこぼれた。
幸い、デオンはルークの頭を拭くのに集中している。
身じろぎもせず、声も立てず、しゃくりあげずにいればじきに止まってしまうかな?なんて淡い期待をする。
──が、そんな期待は、ポロポロと零れた涙が、顎を伝わり床に落ちたことで、デオンに気付かれてしまった。
ほわ。
左ほほをそっとなでられる。
「お前、自分で抱えすぎ・・・」
そう言われて、
『直せるのならとっくに直している』
ふとそう思う。
また、瞳が潤んでくる。
親指で、目頭から目じりを拭われた。
泣く気なんてないのに、体はどんどんと涙を製造することにしたらしい。
両側の目から涙がポロポロと押し出されていく。
嗚咽を出さないようにするのが、唯一の抵抗だ。
すい。
デオンの顔が近づいてきた。
とっさに、目をつぶる。
ポロッと左目からまた涙が零れた。
・・・と、その涙にふわっと何かが当たった。
と、次は、目じりにも優しい感覚。
そして、最後にはおでこに。
次の瞬間、ぎゅっと抱きしめられた。
頭を撫でられているうちに、デオンの肩口に頭は落ち着いた。
ふと・・・昔を思い出す。
すごい昔、こんなことがあった。
もう、20年近く付き合っているのに、また同じ事をしている・・・。
「ふっ」
思わず、苦笑する。
「?」
「ふふふふ・・・」
一度、笑い出すと、なんか笑いが止まらない。
「ルーク・・・」
デオンの脱力した声が、また面白くて、更に笑ってしまう。
「くっくっくく・・・・」
結果、デオンの耳元で、散々笑うことになる。

「はぁ・・・」
ひとしきり、笑って溜息をつく。
「落ち着いたか?」
ぐい、ちょっと体をはがし、顔を持ち上げ、真横にあるデオンの顔を見る。
とっても、複雑そうな顔をしている。
そりゃそうだろう、慰めている途中で、笑い出されたのだから。
・・・が、散々笑った後なのと、風呂上りだったのもあり、
「喉、渇いた・・・水」
と、とっさに言ってしまった。
ぴくっ。
デオンの眉が上がる。
「ルーク、お前なぁ・・・」
そういいつつ、デオンは世話焼きモードに変る。
「お前は、ソファに座ってろ」
そういい残して、キッチンに消えた。
・・・と、
「うわ、なんだこれは!?」
という声が聞こえた。
「?」
『キッチンが散らかってるはずないんだけど』とルークは思う。
ベータが毎日、掃除はしているから。
仏頂面で、ミネラルウォーターの瓶とコップを持ったデオンが出てきた。
ルークの側でキャップを緩め、コップに水を注ぐ。
「ほら」
ゴクゴク。
渡されたコップの水を一気に飲み干す。
思った以上に、乾いていたらしい。
「おかわりは?」
「うん」
素直にコップを差し出す。
そこに、またデオンが水を注ぐ。
グラスの縁に口をつけ、水を飲んでいると
「お前・・・冷蔵庫の中、どうなっているんだ」
と言われる。
さすがに全部は飲みきれない。
半分ほど水が残ったグラスを見ながら、
「え、冷蔵庫?何か傷んでた??」
と、答える。
「傷む・・・以前の問題だ。何で、水と酒とジュースしか入ってないんだ、お前んちの冷蔵庫は!?」
「あーーーーー」
自分の冷蔵庫の中を思い浮かべる。
何か問題があるんだろうか?
「あーーーじゃないだろう?食品はどうした、食品はっ!?」
ああ。
やっと、デオンが言いたいことがわかった。
「いや?食堂行けば何か食べられるし、特に必要ないかな?・・・と」
そうそう。
変に食品を入れておくと、賞味期限だの面倒くさい。
「だ~~~っ。目を離すとすぐこれだっ。明日から毎日来るからなっ。
 それと、ドライヤーはどこだ?」
「ドライヤー????」
記憶を探る。
普段はベータ任せだからなぁ・・・。
最後に見たのは・・・多分・・・。
「う~~んと、そこの引き出しのどれかに入っているはず」
デオンはキッと視線を送った後、チェストに近寄り、引き出しをあさり始めた。

ブォーーーーーー
時々、デオンの手がグイ、グイッと頭の方向を修正しながら、ドライヤーの風が程よく髪に当たっていく。
魔法を使ったり、部屋に造り付けのオートドライヤーを使ったほうが楽だと思う。
が、デオンは「魔法や機械に頼らずに自分でできることは、自分でしたい。知識として方法を知っているのと、実際にするのは違うんだぞ」と言って、極力、時間がある時は自力でやっている。
おまけに、忙しい身なのに、時々こうやってルークの世話もしている。
『俺のことなんて、放っておけばいいのに』と時々思う。
が、逆に、この一手間の時間が嬉しかったりもする。
『ただ、この手の紡ぐ空間に慣れきってしまうことだけは、ないようにしないと』
いつも思う。
きっと、なくしてしまったときのダメージは図りきれないものだと思うから・・・。

「ぐーーーーーっ」
ちょうど、ドライヤーで髪を乾かし終わった時。
ルークのお腹が威勢よく鳴った。
「・・・・・・」
デオンはすっかり呆れ顔だ。
「ごめん、昼食べそびれてた・・・」
「昼以前に、もう夜中だ~~~!」
デオンの怒声が部屋に轟いた。


------------
ああ、今回も長くなってしまいました。

今回は別の意味で、書いていて大変でした・・・。
だって・・・だって・・・(赤面)
読む限りはLOVELOVEカップルじゃないですか~。
「ええい、いちゃついてんじゃね~よ」って言いたくなる・・・はず。
が、実際には全然そうじゃないんです。
でも、文章にしてしまうと、漂ってしまうLOVELOVEな雰囲気。
『これって、書く私のフィルターのせい?』と反省しながら、書きました。
ええ、ここで書いちゃいます。
実際にはまるっきり、はっきり色気ゼロです。
友愛というのかなぁ?と思ってます。
申し訳ありませんが、色気ゼロと思って読んでくださいませ。
(って、読み終わった後のところに書いてど~~する>自分)

次のエピソードは、楽しいです♪
新キャラ出てきます。
この話よりも、次が書きたくて、書きたくて~~。
照れくささを押して押して、今回、頑張りました。
このエピソードが終わって、万歳
スポンサーサイト

No title

わーい。面白かった~!
ありがとう~~!!

ええと。色気?は、私は感じなかったなぁ。すてきなシーンだと思うけど、艶っぽさとか相手に何か期待してる様子が全くなくて、服に付いた泥を落とすのと変わらぬ感覚で涙ぬぐってるデオンさんが浮かんだよん♪
<ちょっと追記>
思い出したんだけど、私が子供のころに父親が涙を拭いてくれた時みたいな、そういう愛情な気がする。泥も涙もいつも同じように、同じスタンスで、拭いてくれてたような・・・。父性愛なのかな~。
もしかして違うのかもだけど、wakka○ちゃんの言いたいことは、わかる気がします!
他の人はどうだったかなぁ?

☆かほりん

いつもありがとう~。
よかった・・・色気感じなくて。
いや~~、も~~ね、書いてて、“いかに淡々と情景を書くか”に苦労したので。
そういってもらえると本当に嬉しい。

>泥も涙もいつも同じように、同じスタンスで、拭いてくれてたような・・・。

多分、そんな感じだと思います。
今思い出したのだけど、書いてて『できの悪い子ほどかわいい』みたいなニュアンスが浮かんだのよね。
本当、父性愛かもw

大丈夫!

>実際にはまるっきり、はっきり色気ゼロです。

エル・フィンとリーシャも同じなので分かります。
でも傍からみたらたぶん似合いのカップルだったんでしょうねぇ……。

わははは

>でも傍からみたらたぶん似合いのカップルだったんでしょうねぇ……。

うん、うんっ。
激しくうなずきたいほど、お似合いと思われてはず(笑)

No title

mixiから色っぽい話とはどんな?とやって来ましたが
大丈夫でした。
いや、まず男同士と思わずに来てしまったんですけど。笑
仲良しのすごいほうくらいですね。

☆m美ちゃん

ああ、腐フィルターじゃないm美チャンから見てO.K.なら、大丈夫ね。
ほっとしました。
ありがとう♪
非公開コメント

Calender
プルダウン 降順 昇順 年別

03月 | 2017年04月 | 05月
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 - - - - - -


最近の記事
最近のコメント
リンク
FC2カウンター
プロフィール

wakka00

Author:wakka00
アロマ・レイキの勉強中。
神秘幾何学なんかも大好きです。
一昔前を考えたら、これって魔女かも!?
魔女見習いの奮闘を日々お送りしてますv

mixiバナー
mixiもやってます。
突っ込んだスピ話はマイミクさん限定♪

じぇいど♪さんのところのなにみえ遠足3期生。
ステーションやクリロズ、アカデメイヤに挑戦中。

 
チャットしてください
 Skype:wakkakka00

--------------

なにみえカードFlash版バナー

ブログ内検索
RSSフィード
QRコード
QRコード
グリムス
moon calender
Mail Form

Name:
Mail:
Title:
text:

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。